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サントリープロダクツ株式会社 高砂工場さま

サントリープロダクツ株式会社は、2011年1月に設立したサントリー食品インターナショナル株式会社のグループ企業。同社は清涼飲料水の製造を手がけ、全国の大消費地や水源に近い場所に6つの工場をもつ。約15万平米の敷地を持つ高砂工場では、ペットボトルや缶の飲料を製造。ウーロン茶, 炭酸飲料,コーヒー, チューハイなど200品目に及ぶ製品を製造している。

導入の決め手

 

 

飲料の製造プロセスでは、温度の異なる水(低温水, 中温水, 高温水)を工場内に循環させて利用する「循環水システム」が稼働している。これまで余りがちだった中温水を有効利用するために「熱回収温水ヒートポンプ」を導入した。

中温水の有効利用

中温水の熱を回収し有効利用できる「熱回収温水ヒートポンプ」の温水出力レベルが90℃まで可能となり、循環水システムへの適用が可能になった。
*工場建設当時(1999年)、温水ヒートポンプの温水出力レベルは55℃が上限だったが、現在では技術進歩により90℃まで出力可能となっている。

 

 

 

メリット

 

 

エネルギー使用量削減

熱回収温水ヒートポンプで作り出される温水を利用することで、加熱負荷・冷却負荷の約80%を賄えるようになった。ボイラーと比較して、温熱側で46%減, 冷熱側で29%減, 全体で36%削減することができた。

CO2削減

熱回収温水ヒートポンプの導入によりボイラーと比較して54%の削減を実現。

コスト削減

飲料の製造プロセスでは、加熱と冷却を同時に行う工程が多数あるため、熱回収温水ヒートポンプの導入によって37%のコストダウンという大きな成果が得られた。さらに、メンテナンス周期が伸びたことから保全費の削減にもつながった。

生産効率のアップ

循環水の需要に応じて、加熱、冷却及び水の移送を自動で行うことにより、生産効率がアップした。

 
   

 

 

 

お客様の声

 

  余った中温水を活用するために、導入を検討  
 

  

 
  熱回収温水ヒートポンプと温水タンク(左から高温水, 中温水, 低温水)。 熱回収温水ヒートポンプ [三菱重工業(株)]

 

 

 

 

 

 

「導入のきっかけは、飲料の製造プロセスで発生する中温水を有効活用するためでした」と語るのは、高砂工場で技師長を務める藤本氏。
飲料の製造プロセスでは、温度の異なる水(低温水, 中温水, 高温水)をそれぞれのタンクから供給し、工場内を循環させて利用する「循環水システム」が稼働している。
高砂工場では、低温タンク(20℃), 中温タンク(40℃), 高温タンク(70℃)を設置。低温水は80〜90℃で抽出した飲料を冷やす工程で、高温水は主に殺菌のための予熱工程で利用している。中温水は、製造プロセスからの戻り水が中温タンクに集まり、余りがちだったことから、「これをなんとか有効活用したい」と思案していた。
工場建設当時(1999年)は、温水ヒートポンプの温水出力レベルが上限55℃だったため導入できなかったが、技術進歩により90℃の温水出力が可能となっている事を知り、排熱(中温水)を利用して高温水と低温水を効率的に製造できる「熱回収温水ヒートポンプ」を適用した循環水システムを検討した。

 

 

 

  綿密なシミュレーションで高効率なシステム構築を実現  
 

「これまでは、高温水はボイラーを、低温水はターボ冷凍機により製造していました。飲料の製造プロセスでは、加熱と冷却を同時に行う工程が多数あるため、高温水と低温水を同時に製造できる熱回収温水ヒートポンプには、大きな効果が期待できました」エンジニアリンググループ 梅井氏。
可能な限り有効活用するために、2ラインの製品を組合せて54パターンからなる製造プロセスをシミュレーションし、その結果、次の3つのモードを構築した。

  モード1:循環水移送+循環水移送 [中温水から低温水及び高温水を製造し、それぞれのタンクへ移送する]
モード2:熱移送+循環水移送 [中温水から低温水を製造(移送)し、回収した熱で高温水の加温(熱の移送)を行う]
モード3:熱移送+熱移送 [低温水タンクおよび高温水タンクそれぞれの熱移送を行う]
◎エネルギーコストの面でもっともメリットが高いパターンを「モード1」とし、全体の8割はこちらで稼働できるようにした。各タンクの温度や水量に合わせて3つのモードを自動で切替える。
 

これにより、中温水の有効利用はもちろんのこと、モードを自動で切替えることで制御性が向上。循環水の需要に応じた加熱、冷却及び水の移送が柔軟に行われること、システム停止による起動時間のロスが削減することから、生産効率アップにつながった。また、3つのモードをもつことでヒートポンプのメンテナンス周期が伸びることも分かり、高い投資効果が得られることから、導入に至った。

 

試算以上のCO2削減を実現

「人と自然と響き合う」を企業理念とするサントリーグループでは、2011年に新たに環境中期目標を設定し、グループ全体でCO2排出量削減を目指している。高砂工場では、熱回収温水ヒートポンプ導入によるCO2削減効果を33%と試算していたが、54%という大幅な削減効果を実現している。

ヒートポンプのさらなる可能性について「150℃位まで温水出力レベルが上がれば、蒸気に変わる高温水として別用途での導入の可能性はあると思います」と技師長 藤本氏は語る。

 

 

 

 

 

設備概要

 

 

水熱源エコキュート×1
・加熱能力:93.0kW
・消費電力:20.8kW

 
 

 

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導入企業データ

 

 

サントリープロダクツ株式会社

高砂工場
兵庫県高砂市荒井町新浜2-2-1
TEL.079-444-2900

 

 

 

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