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本田技研工業株式会社 浜松製作所さま

本田技研工業(株)発祥の地に建つ浜松製作所は、本社が東京に移転した後の1954年に生産拠点として設立され、常に同社のものづくりの拠点として歩み続けてきた。現在は主に四輪車用トランスミッションを生産しており、鈴鹿、埼玉の両製作所をはじめ、アメリカやヨーロッパの現地工場へも供給している。2010年には敷地内に次代を担う新トランスミッション工場を完成させた。

 

導入の決め手

 

  部品の小型軽量化が進むのにともない、課題となっていたのがギア部品の強度。この問題解決のため、ギア加工の熱処理設備に真空浸炭炉(製品紹介はこちら)が採用された。  
 

トランスミッション用ギアの強度アップ

従来炉に比べ約4倍の歯面強度を達成(詳細へ

 
 

作業環境の向上とCO2削減

「遮熱構造」「通常3交替」「排ガス廃止」の実現(詳細へ

 

 

 

メリット

 

  CO2排出量削減  
 

真空浸炭炉の導入により、従来使用していたガス浸炭炉と比較して47%の削減を実現。本田技研工業全社で掲げている環境負荷低減目標の実現に寄与した。

 

 
  エネルギー使用量削減  
 

アセチレンガスを適時適量供給できることや、週末など短期間の休日にこまめに稼働を休止できること、さらに炉外への放散熱が少ないことなど、真空浸炭炉はエネルギー効率に優れるため、年間で39%の省エネルギー効果を確認。さらに温度のばらつきが少なく、ガス浸炭炉に比べ品質同等で約2倍の大量処理も可能となった。

 
  省メンテナンス

※グラフ数値は大同特殊鋼(株)資料より

 
  真空浸炭炉は従来と比べ炉内の煤・タールの発生量が低減したため、メンテナンスコストも大幅に削減された。  
  量産起ち上げが可能    
  製造メーカーの同一仕様炉での先行確認により、従来炉に比べ品質確認日程が短縮され、量産垂直起ち上げを実現した。さらにオペレーションの簡素化により習熟日程も大幅に短縮されており、スムーズな設備導入となった。  

 

 

 

お客様の声

 

  次世代を担う新トランスミッション工場の環境施策   
 

 
  新工場の屋上緑化 太陽光発電システム  
   
 

本田技研工業(株)は「Honda環境宣言」というガイドラインを1992年に定めるなど、かねてより環境への積極的な取り組みを行っていることで知られる。
「当社は、最もCO2排出の少ない工場で、最もCO2の少ない製品を生み出す企業をめざしています。そのため全世界の製品及び生産活動におけるCO2を、2010年までに2000年比で10%以上低減させる自主目標を2006年に設定しましたが、これは自動車業界では初の試みでした。浜松製作所では引き続き『年1%以上CO2削減』を目標に取り組んでいます」(環境総合責任者・松村氏)
そんな中、2010年7月に竣工した新トランスミッション工場は「整流化された明るい、清潔な工場」「地域との共存」「都市型先進工場」という3つのキーワードをコンセプトに建設され、物流の一環化や太陽光発電システムの導入・屋上緑化など、次代を担う工場として様々な施策が施されている。また、敷地内には「ふるさとの森」と呼ばれる里山を意識した広大な緑化スペースを設け、地域の子供たちへの環境学習の門扉とするなど育成支援活動も行っている。

 

本田技研工業株式会社浜松製作所

環境総合責任者 松村正道氏

 

 

 

 

 

 
  ギア強度を上げるため、真空浸炭炉の導入を決定  
 

 

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  トランスミッション用ギア     

 

 

「そもそもの目的は、ギア強度の向上でした」導入当時、プロジェクトリーダーであった金原氏は導入の経緯についてこう語る。自動車の性能・安全性・燃費といった項目に対する要求は年々高い水準のものが求められるようになっており、その実現には部品の小型化・軽量化は欠かせない。そのためにも部品の強度は重要となってくる。
特にギアのような複雑な形状の鋼材部品は、加工後に浸炭焼入と呼ばれる熱処理を行うことで部品を硬化させる必要がある。浸炭焼入は鋼材部品を860℃〜930℃に加熱し表面に炭素を浸透させてから油冷にて焼き入れを行う方法である。

浜松製作所では従来のラインにおいてガス浸炭炉を使用していたが、炉内のガス雰囲気を保つために大量の変成ガスを使用するだけでなく、休日も設備を停止できないなど多くの問題点があった。
今回導入した真空浸炭炉はそれらの問題を解決するとともに、無酸素状態で浸炭するので粒界酸化層が発生せず、高強度化がはかれる。実際、真空浸炭炉にしたことで従来に比べ歯面強度はシャルピー衝撃値で約4倍、回転曲げ疲労強度は約25%アップしたという。

 

本田技研工業株式会社浜松製作所
トランスミッション工場
ギア加工モジュール

技術主任 金原 由治 氏

 

 

 

 

  3K職場からの脱出  
 

 
  ガス浸炭炉 真空浸炭炉   

 

 真空浸炭炉の導入は、作業環境にも大幅な向上をもたらした。
「ガス浸炭のラインは、排ガスと顕熱によってどうしても職場は暑くなり、天井は油煙で汚れてしまいます。真空浸炭にしたことで熱もガスもなくなり、清潔で快適な職場となりました。もちろんCO2排出量も大幅に削減され、環境負荷も非常に少ないラインとなっています(前出・金原氏)」
またガス浸炭炉は休日中も雰囲気保持のためガスの定量供給が必要であり、監視要員も変則3交替制/18名必要だったが、真空浸炭炉はその必要もなく通常3交替制/6名の人員で済むことも大きい。
さらに排気ダクトが不要のため高さを必要とせず、工場内のレイアウトも自由度が増した。このことが新工場における整流化に一役買っている。
浜松製作所では、2020年までにまだ残っているガス浸炭炉を既存技術として若干残しながら真空浸炭炉を拡大し、さらなる高品質化・高効率化、CO2排出量の削減を実現する予定だという。

 

設備概要

 

  モジュール式真空浸炭炉
 

●浸炭モジュール×9
●油冷モジュール×2
●搬送モジュール×2
●保温モジュール×2
■生産能力23,500個/日

 

 

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導入企業データ

 

 

 本田技研工業株式会社 浜松製作所
静岡県浜松市中区葵東1-13-1
TEL.053-439-2111(代)
http://www.honda.co.jp/hamamatsu/

 

 

 

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