技術文献
学会誌ほか
月刊「省エネルギー」(2019年10月号)
特集 産業用ヒートポンプの活用法【技術解説】産業用ヒートポンプ活用による省エネルギーへの取り組みの現状] |
日本エレクトロヒートセンター 浜屋敷 毅 |
日本エネルギー学会機関誌(2018年3月号)
メタノール蒸留工程における廃熱を活用した省エネルギーの取り組み |
名糖産業㈱ 八王子工場長 村瀬 勝俊 氏 三菱UFJリース㈱ 望月 淳 氏 日本エレクトロヒートセンター 業務部長 井上 和茂 |
クリーンエネルギー(2018年6月号)
メタノール蒸留工程における廃熱を活用した省エネルギーの取り組み |
木村化工機㈱ 技術部長 松尾 洋志 氏 |
機関誌「エレクトロヒート」記事
【連載講座】はこちら |
○産業用ヒートポンプのグローバル動向 EH_No247から |
○産業用ヒートポンプ導入計画の手法:設計・施工・メンテナンスまで EH_No250から |
EH_No255【特集】カーボンニュートラルの切り札!産業用ヒートポンプ |
①電気式ヒートポンプ熱源機と燃焼式熱源機 とのハイブリッド熱供給システム |
林 本 伸 章(はやしもと のぶあき)株式会社日本サーモエナー 事業企画室 部長 |
要約 企業活動において脱炭素に資するものが今後益々重視されるなか、民生・産業用分野での熱エネ ルギー供給部門においては、省エネだけではなく CO2 削減が強く要求されている。当社は従来、熱源機 の電化シフトへの一つの方法として、小容量の電気式ヒートポンプ熱源機を大容量の燃焼式熱源機と組 み合せたハイブリッド熱供給システムを展開してきた。ここで改めて、電気式ヒートポンプ熱源機を用 いた蒸気ボイラ給水加熱システムとハイブリッド給湯システムを紹介する。 |
2023年度 省エネ大賞 製品・ビジネス部門 省エネルギーセンター会長賞 受賞 |
市 川 昭 則(いちかわ あきのり)木村化工機株式会社 エンジニアリング事業部 大阪営業部 担当部長 |
要約 2021 年、当社は、熱影響を受ける食品などの濃縮に最適な省エネ型ヒートポンプ式低温蒸発装 置を発明した。そして、2023 年度省エネ大賞 製品・ビジネスモデル部門省エネルギーセンター会長 賞を受賞した。ここでは、本装置の仕様、特徴、設計における留意点、そして、最近の導入実績などを 紹介し、本装置が、大幅な省エネ化および CO2 排出削減に貢献できることを説明する。 |
③廃熱利用で脱炭素! MVR 型蒸発濃縮装置による工場の省エネ化 |
鈴 木 冴 佳(すずき さえか)株式会社ササクラ 水処理事業部 東京水処理営業室 |
要約 ㈱ササクラの MVR 型蒸発濃縮装置、当社製品名 VVCC(Vacuum Vapor Compression Concentrator)は「蒸発濃縮工程には大量のエネルギーを必要とする」という従来のイメージを覆す、エネ ルギー消費を最小限に抑えた高効率な装置である。各種プロセス溶液や排水からの水回収、有価物回収、 溶液の減容化、ZLD 等でご利用いただける蒸発濃縮装置だが、今回は、最大 90%超の CO2 排出量を削 減することのできる MVR 型蒸発濃縮装置について、装置の概要や当社の技術についてご説明するとと もに、蒸発濃縮装置がどのような業界で活用できるのかについて事例を交えてご紹介する。 |
④ 循環加温ヒートポンプ『JIZAI HEAT』 生産設備の電化を図り脱炭素社会に貢献 |
小 黒 真(おぐろ しん)ダイキン工業株式会社 空調営業本部 テクニカルエンジニアリング部 |
要約 国内において CO2 排出量比率が高い産業部門、特に製造業における CO2 排出量の削減はカーボ ンニュートラルに向けて喫緊の課題である。環境への取組みは ESG 市場の拡大により企業価値の向上 にも繋がるため、多くの企業が「CO2 排出量実質ゼロ」の目標や中長期実施計画を公表している。エネ ルギー管理指定工場である当社の臨海工場においても、工場のカーボンニュートラルを果たすべく 6 つ の省エネ施策に着手している。本稿では、これらを背景に新しく発売した循環加温ヒートポンプ『JIZAI HEAT』の製品特長および『JIZAI HEAT』をユーザーとして当社工場に導入し、圧縮機塗装工程ライ ンのエネルギー運用の改善を図った事例を紹介する。 |
⑤寒冷地における廃熱回収形ヒートポンプの 活用事例 |
霜 田 敬(しもだ けい)株式会社ダイキンアプライドシステムズ 設計本部 |
要約 2050 年カーボンニュートラルの実現を目指す中、産業分野でも環境への配慮は最重要課題となっ ている。弊社は産業分野向け空調 ・ 換気、冷却 ・ 加熱、冷凍 ・ 冷蔵のエンジニアリング力を生かし、お 客さまが求める脱炭素化を実現するシステム提供に取り組んでいる。特にヒートポンプを活用した廃熱 利用システムは、CO2 排出量の削減および省エネルギーに大きな効果を生みだすことが可能である。過 去に低炭素化をめざし寒冷地特有の気象条件並びに冷却 ・ 加熱負荷パターンを考慮した廃熱回収形ヒー トポンプシステム事例を紹介する。 |
⑥日本イトミックのあゆみ ヒートポンプ製品(大型~小型機)の紹介 |
金 井 哲 也(かない てつや)株式会社日本イトミック 事業開発部 テクニカルアドバイザー |
要約 地球温暖化対策・CO2 排出量削減を目指すため、電気温水器専業メーカーである特長を活かし、 2002 年 8 月に業界初となる業務用エコキュートの発売を開始した。その後も新機種の開発を継続し、 2012 年に大型機、2018 年に新中型機、2022 年に小型機を発売開始している。産業用としては、2022 年に循環加温ヒートポンプの発売を開始した。今回は企業のあゆみや製品紹介、並びに将来の展望をご 紹介する。 |
EH_No254【特集】第18回エレクトロヒートシンポジウム |
深 澤 篤 志(ふかさわ あつし)ほっとコンサルティング株式会社 代表取締役社長
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要約 産業界における 2050 年カーボンニュートラルには、エネルギー使用の約 80%を占める燃料(熱) の脱炭素化が重要であり、その中心的な対策が電化である。ヒートポンプによる電化では、熱使用にお ける CO2 排出量を大きく削減することが可能であるが、燃料削減と電力増加の度合いはどの程度になる かはよく知られていないのではないだろうか。ヒートポンプ導入における、Scope1・2・3 の変化につ いて解説する。
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【連載講座】産業用ヒートポンプ導入計画の手法:設計・施工・メンテナンスまで EH_No250から |
長谷川 好秀 (はせがわ よしひで)東京冷機工業株式会社 営業技術本部
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要約 現在、日本の脱炭素・カーボンニュートラルの方向性は改正省エネ法(令和 5 年 4 月 1 日施行) が示す通り、非化石エネルギーへの転換促進が求められている。当社(東京冷機工業株式会社)は熱の 電化(産業用ヒートポンプ)と再生可能エネルギーを推進する事で脱炭素・カーボンニュートラルに貢 献出来ると考えている。当社は空調設備をはじめとする設備工事の設計・施工・メンテンナンスをワン ストップで行う創業 67 年の会社である。本連載講座では、産業用ヒートポンプ導入計画の手法について、 設計から施工・保守までを紹介する。
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第2回 EH_No251 産業用ヒートポンプの機種選定 |
要約 産業用ヒートポンプには多種多様な機種があり、選定に迷うことが多い。先ずはどんな機種がありどういう仕様かを知ることが必要である。その上で導入計画で見極めた必用能力、使用条件、に合う機種を選び出し、必要台数、設置・サービススペース、そして納期を確認して選定する。 |
第3回 EH_No252 産業用ヒートポンプのシステム構築 |
要約 産業用ヒートポンプのシステム構築を考えるうえで、最も大切な事は『生産を止めない』・『生産物の品質に影 響を与えない』・『生産効率を下げない』この 3 つが挙げられる。産業用ヒートポンプは、生産ラインに直結した 重要なユーティリティ設備であり、生産の『品質』・『効率』に大きく関わっている。 また、産業用ヒートポンプ導入の目的の 1 つが、エネルギー消費量(電気・ガス・油)の低減・CO2 排出量の 削減でもある。今回は[安定した運転]・[効率的なエネルギー利用]に着目して『より良いシステム』の考え方 について紹介する。
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第4回 EH_No253 産業用ヒートポンプの施工 |
要約 今回は、産業用ヒートポンプの施工について説明する。空調機を設置する一般的な施工と、産業用ヒートポ ンプを設置する施工を比べても、特別に難しい施工という事はありませんが、幾つかの注意しなければならない ポイントがある。当社の失敗例を含めて、注意が必要なポイントを紹介します。 また、施工段階に於ける脱炭素・カーボンニュートラルについても紹介する。
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最終回(第5回)EH_No254 産業用ヒートポンプの運用確認と保守計画 |
要約 今回は、産業用ヒートポンプの運用確認と保守メンテナンスについて説明する。 産業用ヒートポンプは、生産に直結している設備であり、生産の状況に合わせて様々な条件で運転する必要がある。初回の試運転の条件とは徐々に異なっていく事も多く見受けられる。そのため、しばらくの間(3 ~ 6 ヵ月) は運転状況の確認と微調整が必要になってくる。また、脱炭素や省エネを考えると、定期的なメンテナンスで初 期性能を維持する事も重要である。
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EH_No249【特集】脱炭素に貢献する産業用ヒートポンプ |
①産業用ヒートポンプの周辺状況と将来展望 |
佐々木 正信 (ささき まさのぶ)東京電力エナジーパートナー株式会社 販売本部 副部長 |
要約 産業用ヒートポンプは工場における省エネルギー機器として重要な役割を果たしているが、近年、 脱炭素実現の手段としてもその CO2 削減ポテンシャルの大きさが世界的に注目されている。一方、さら なる普及拡大のためには、ヒートポンプ関連技術の飛躍的向上が必要となる。また、将来の電力価格と 燃料価格への温暖化対策コスト転嫁政策(再エネ賦課金や炭素税を含む)にも大きく影響を受ける。本 稿では、関連する周辺状況および将来展望について解説する。 |
②「ヒートポンプ」導入は今がチャンス!検討ポイント・事例・コスト分析・補助金 |
深 澤 篤 志 (ふかさわ あつし)ほっとコンサルティング株式会社 代表取締役社長 |
要約 2023 年改正省エネ法において、日本政府は再エネ導入拡大と併せて電化・水素化を推奨。ヒー トポンプでの電化は、熱の脱炭素化の切り札的な対策であるが、導入にはポイントを押さえた検討が必 要である。また、昨今のエネルギー費の高騰はヒートポンプ導入効果を一層高めており、各種補助金の 充実により導入ハードルは低下している。検討のポイントや最新の導入事例も含めて解説する。 |
③工場カーボンニュートラル実現に向けた製品製造現場での取組み |
納 富 柊 作 (のうどみ しゅうさく)ダイキン工業株式会社 空調営業本部 設備営業部 |
要約 国内において CO2 排出量比率が高い産業部門の中での製造業におけるカーボンニュートラル取組 みの一例を紹介する。ダイキン工業の空調生産拠点工場で取組んでいる施策としては「電気」「都市ガス」 「冷媒」に起因する CO2 排出量を削減するために「実態把握・施策の立案」「見える化による運用改善」「熱 マネジメントによる省 CO2 化」の手順で進めている。既に実施済で効果の出ているもの、実証試験中で あるもの等様々だが、各生産ラインで異なる条件に適した取組みとして整理している。こういった自社 の Scope1,2 の排出量削減取組みから得られたノウハウを市場に公開・提案し、Scope3 の排出量削減 にもつながる「顧客と共に作り上げるカーボンニュートラル」を目的としている。 |
④ヒートポンプによる工場ボイラーレスの事例紹介 |
栄 田 鉄 郎 (えいだ てつろう)三菱重工サーマルシステムズ株式会社 製造部 部長 |
要約 工業用熱源のヒートポンプ化については初期投資が高く、運用面についての情報も不足している ことから抵抗感が払しょくされ難い。弊社ではヒートポンプ機器メーカーの工場として 2015 年頃から 積極的にボイラー代替を推進してコストメリットの実証と実用面の懸念解消に取り組んでおり、2022 年に工場全体の完全なヒートポンプ化=ボイラーレスを達成したので、参考事例として紹介する。 |
➄カーボンニュートラル志向の中での高い省エネ性の追求 |
市 川 昭 則 (いちかわ あきのり)木村化工機株式会社 エンジニアリング事業部 大阪営業部 担当部長 |
要約 2021 年、当社は、これまでヒートポンプの採用が困難とされていた不連続でエネルギーの需給 がランダムとなるケースにおいて、効率よく熱を回収することが可能な「工場排熱利用と熱の再利用に よるオール電化システム」を発明した。ここでは、この「オール電化システム」を紹介するとともに、 そのシステムを発明するために駆使した蒸発・蒸留の省エネ化技術の一つである「省エネ型ヒートポン プ式蒸留装置」を紹介する。 |
⑥CO2 削減に最も貢献する熱回収と今後の高温暑熱対策 |
岩 澤 賢 治 (いわさわ けんじ)MDI 株式会社 代表取締役 |
要約 CO2 削減課題の宿題と、昨今のエネルギー価格の急騰問題が同時に発生してしまっている 2023 年現在の世界情勢の中で、特に日本国内でも大手企業、中小企業の業種問わず、毎月の光熱費問題に直 面している。主な原因として考えられるのは、ロシア、ウクライナ戦争によるエネルギー、食材供給ルー トの断絶や原油価格などの問題が依然として存在しているが文句を言っても解決にはつながらない。今 後のエネルギー問題の解決方法は、主に 2 択である。クリーンな創エネを行うか、またはリサイクルす るかである。MDI 株式会社では、排熱回収専門の熱交換エンジニアリング会社として、誰でも簡単に取 り組める熱回収、リサイクルによる CO2 削減や、暑熱対策、暖房対策などの実例を多く解説することで 本来の温暖化防止から来る SDG’S 世界に向けた日本発の取り組みを知っていただければと考える。 |
EH_No248【特集】第17回エレクトロヒートシンポジウム |
①CO2 排出量最大 90%超カット! 環境負荷低減に役立つ MVR 型蒸発濃縮装置 |
鈴 木 冴 佳 (すずき さえか)株式会社ササクラ 水処理事業部 東京水処理営業室 |
要約 ㈱ササクラの MVR 型蒸発濃縮装置、当社製品名 VVCC (Vacuum Vapor Compression Concentrator) は「蒸発濃縮工程には大量のエネルギーを必要とする」という従来のイメージを覆す、エネルギー消費を最小限に抑えた高効率な装置である。各種プロセス溶液や排水からの水回収、有価物回収、溶液の減容化、ZLD 等でご利用いただける蒸発濃縮装置だが、今回は、最大 90%超の CO2 排出を削減することのできる MVR 型蒸発濃縮装置について、装置の概要や当社の技術についてご説明するとともに、蒸発濃縮装置がどのような業界で活用できるのかについてご紹介する。 |
②トナー生産デジタル工場における 廃熱回収ヒートポンプ導入事例 |
秋山 慎太朗 (あきやま しんたろう)株式会社リコー ROP CMC 事業本部 第二トナー事業センター 第五開発室 TP 開発九グループ |
要約 捨てられている熱を回収し、エネルギーとして再利用することは、工場の脱炭素化に大きく貢献 する。小さな電力でそれを実現できるのがヒートポンプである。ヒートポンプはエネルギー効率で大き なメリットがある一方、工程にシステムをマッチさせ、最大効果を得るための設備設計の難易度が高い という課題がある。これを成功させるためには、対象工程における詳細なデータ収集と、この収集デー タによるヒートポンプの稼働状況を事前に予測することが重要である。リコーのトナー生産工程では、 デジタル工場として構築されたデータ取得環境を活かし、詳細な稼働シミュレーションを実施した。そ の結果、導入後の安定稼働を実現し、対象工程の一次エネルギー使用量の 80%削減を達成している。 |
【連載講座】産業用ヒートポンプのグローバル動向 EH_No247から |
甲斐田 武延 (かいだ たけのぶ) 一般財団法人電力中央研究所 主任研究員 |
要約 日本では、2000 年代後半から産業用ヒートポンプの開発が盛んになり、2008 年より高温水供給 ヒートポンプ、2009 年より熱風供給ヒートポンプ、2012 年より蒸気供給ヒートポンプの導入事例が報 告されてきた。一方、欧州でも 2010 年代から産業用ヒートポンプの開発が進み、多数の製品が市場に 登場し、導入事例も報告されてきた。その動きはさらに活発化している。また、北米、オセアニア、東 アジアでも産業用ヒートポンプに高い関心が寄せられるようになってきた。本連載では、このような海 外における産業用ヒートポンプの動向を紹介していく。連載初回の今回は、産業用ヒートポンプに注目 が集まってきた背景について解説する。 |
第2回 EH_No248 産業用ヒートポンプの技術区分 |
要約 産業用ヒートポンプの動向を紹介していくにあたって、まずは用語の定義や技術の分類について 解説し、本連載で取り扱う対象範囲を示す。また、技術成熟度(TRL)という指標について解説し、産 業用ヒートポンプ技術の現状と展望を概観する |
第3回 EH_No249 欧州の産業用ヒートポンプ技術の概要 |
要約 近年、特に欧州で産業用ヒートポンプの開発や実証が活発化している。今回は欧州における産業 用ヒートポンプの特徴を日本のそれと比較しながら解説するとともに、前回解説した技術区分に基づい て、代表的なメーカや研究機関が有する産業用ヒートポンプ技術の概要を紹介する。 |
第4回 EH_No250 亜臨界サイクルヒートポンプ |
要約 今回、様々な種類に分類されるヒートポンプ技術のうち、最も広く利用されている亜臨界サイク ルヒートポンプについて詳説する。産業用ヒートポンプは幅広い温度帯で活用されるため、それぞれの 温度帯で適した冷媒の種類は異なる。そこで、産業用ヒートポンプ開発の際の目安となる、冷媒選択に 関する分析結果も紹介する。また、代表的な日本メーカと欧州メーカの亜臨界サイクルヒートポンプの 製品ポートフォリオの現状と今後の展望についても述べる。 |
第5回 EH_No251 蒸気供給ヒートポンプ |
要約 工場の加熱ユーティリティとして、一般にガスまたは油焚きのボイラで生成した蒸気が使用され ている。脱炭素化に向けた 1 つの手段として、このようなボイラから蒸気供給ヒートポンプに転換して いくことが期待されている。蒸気供給ヒートポンプは 2011 年に日本で初めて商用化されたが、近年、 欧州でも開発が進み、複数の技術が登場してきている。今回、それらについて冷媒やシステム構成、導 入形態の観点から整理し、現在の日本の蒸気供給ヒートポンプとの相違について述べる。
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第6回 EH_No252 遷臨界サイクルヒートポンプ |
要約 洗浄工程や乾燥工程のように加熱工程が大きな温度変化を伴う顕熱需要の場合には、ヒートポン プ側も顕熱供給に適した技術を選択するのが望ましい。今回、顕熱供給に適した技術の 1 つとして遷臨 界サイクルヒートポンプの技術動向を紹介する。
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第7回 EH_No253 圧縮・吸収ハイブリッド式ヒートポンプ |
要約 前回、顕熱供給に適した技術の 1 つとして、遷臨界サイクルヒートポンプについて述べた。今回、 熱源側も顕熱である場合に適した技術として、圧縮・吸収ハイブリッド式ヒートポンプの技術動向を紹 介する。日本では馴染みのない技術であるため、基本原理についてもあわせて解説する。
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第8回 EH_No254 ブレイトンサイクルヒートポンプ |
要約 ヒートポンプには蒸気を作動流体としたものだけでなく、ガスを作動流体としたものもある。そ の中でも、ブレイトンサイクルやスターリングサイクルを有する高温ヒートポンプの技術開発が進んで いる。今回はブレイトンサイクルヒートポンプの基本原理や特徴を解説するとともに、その開発動向を 紹介する。
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第9回 EH_No255 スターリングサイクルヒートポンプ |
要約 前回、ガスサイクルヒートポンプの 1 つとして、ブレイトンサイクルヒートポンプについて述べた。 今回、別のガスサイクルヒートポンプとして、大温度リフトに適した技術である、スターリングサイク ルヒートポンプの技術動向を紹介する。 |
EH_No243産業用ヒートポンプ&工場等廃熱活用 |
大 上 貴 博 (おおうえ たかひろ) コベルコ・コンプレッサ株式会社 ヒートポンプ・新事業本部 熱源活用技術部 |
要約 「脱炭素」が世界的な課題となっている中、産業分野においては工場の蒸気レス化など化石燃料削 減の取り組みが加速しており、省エネルギー性の高いヒートポンプが注目されている。一方でヒートポ ンプ等の熱源機器は温室効果の高いフロン類が使用されており、自然冷媒や地球温暖化係数の低い冷媒 (低 GWP 冷媒)への早期転換が求められている。当社では、既存機種の低 GWP 冷媒化対応に加えて、 対応温度領域を拡大し、より高効率な運転および幅広い用途への適用を図っている。本稿では当社の低 GWP 冷媒採用機種の特徴と開発状況、導入効果の試算結果について紹介する。 |
奥 野 敏 彦 (おくの としひこ)サイエンス株式会社 営業部 専任部長 |
要約 第 5 次エネルギー基本計画の具現化に向け、2030 年目標、2050 年目標というマイルストーンの 達成に向けた活動の活発化、カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現、SDGs の取組み等の具体的な 展開が進展している昨今、産業用ヒートポンプの導入に向けて追い風が吹いてきていると実感する。実 際に案件が増加しており、受注機会も増えてきた。そこで、本稿では、弊社ヒートポンプのラインナッ プや特徴を紹介し、これまでの現場調査、提案活動から得られた知見に基づき、お客様に寄り添った提 案のポイントについて述べるとともに、お客様から好評を頂いた具体的な導入事例を紹介する。 |
坂 井 正 頌 (さかい まさのぶ) 三菱重工サーマルシステムズ株式会社 営業部 熱ソリューション営業課 主任 |
要約 カーボンニュートラル社会の実現に向けて、産業分野のヒートポンプ適用による CO2 削減効果が 期待されている。一方、産業用途のヒートポンプ化は、熱バランス、温度帯、用途が多岐に渡り、導入 検討をするためにはユーザーがアクションを起こす必要がある。そこで、化石燃料を用いる既存システ ムから空気熱源ヒートポンプ、水熱源ヒートポンプを用いて低炭素化を図ったシステムの提案事例を紹 介することで、産業分野でのヒートポンプシステムの認知と普及を加速しカーボンニュートラル社会の 実現を目指したい。 |
鈴 木 冴 佳 (すずき さえか) 株式会社ササクラ 水処理事業部 東京水処理営業室 |
要約 ㈱ササクラの MVR 型蒸発濃縮装置、当社製品名 VVCC(Vacuum Vapor Compression Concentrator)は「蒸発濃縮工程には大量のエネルギーを必要とする」という従来のイメージを覆す、 エネルギー消費を最小限に抑えた高効率な装置である。蒸発濃縮工程は、さまざまな工場に存在するが、 今回は電池部材のセパレータや透析膜を製造するために使用する有機溶剤の有価物回収について脱炭素 社会に役立つ、MVR 型蒸発装置を組み合わせた省エネルギー蒸留装置の事例を紹介する。 |
原 田 光 朗 (はらだ みつお) 東京電力エナジーパートナー株式会社 販売本部 法人営業部 部長 |
要約 脱炭素社会は「省エネと再エネ」の組合せであり、省エネ比率が高いほど再エネは少なく済む。 省エネ対策の一つにヒートポンプがある。はじめに 1925 年に発表された日本最初のヒートポンプ理論 とその解説「冷凍機を暖房機として流用するの議」の 2 つの図を紹介する。第一図は水車利用による湖 水くみ上げの高効率性を示しており、ヒートポンプ同様に高効率な事例が自然界に存在することは、ヒー トポンプの高効率性は真実との理解につながる。第二図は冬期建築物での取入れ外気加熱に自らの排気 熱をヒートポンプ温熱源として使用しており、自らの排熱はもっとも身近な温熱源である事を示すと共 に“熱のリサイクル”が実施されている。つづいて“ヒートポンプによる熱のリサイクル”の事例を 4 例紹介する。さいごに脱炭素社会実現には高効率化とロス削減が必要であるが、それらの実現には定説 や前例などを疑う、新たな着眼点が求められている。 |
村 上 皐 月 (むらかみ さつき) 三浦工業株式会社 熱利用事業推進部 熱利用推進課 主任 |
要約 現在、三浦工業(本社:愛媛県松山市 代表取締役:宮内大介)では熱・水・環境を包括的にと らえた工場トータルソリューション提案のため、主力製品である小型貫流蒸気ボイラ単体の効率向上だ けでなく、工場全体の脱炭素化に目を向け、未利用熱の有効活用など様々な省エネ機器の開発、提案か ら納入後のメンテナンスまでワンストップで行っている。本稿では、弊社未利用熱活用の省エネ機器と、 その導入事例、導入メリットについて紹介する。 |
山 根 宏 昌 (やまね ひろまさ) 東芝キヤリア株式会社 営業技術部 シニアマネージャ |
要約 低炭素社会の実現に向けて、CO2 排出量の大幅な削減が求められているが、工場や倉庫等に代表 される大規模空間での空調設備においては、単に高効率なヒートポンプ機器の置き換えだけでは期待さ れる省エネ改善が困難な場合があり、それぞれの用途に応じた空調方式の選択や運用が実省エネ性を左 右する。また、省エネ性以外にも、働きやすい職場環境づくり、生産性向上など多面的な観点からヒー トポンプ空調設備への応用力がニーズとして存在する。よって、本稿では、各種ソリューションを解決 するための当社の設備用パッケージエアコンについて、その特長や産業用途への適用事例について紹介 する。 |
EH_NO.242【特集】第16回エレクトロヒートシンポジウム |
田 熊 康 秀 (たくま やすひで) オルガノ株式会社 ソリューション推進室 エネルギーソリューション推進リーダー |
要約 2050 年カーボンニュートラルに向けて、電力供給の脱炭素化を進めつつ、エネルギー利用の電 化を推進することが重要である。特に最終エネルギー消費の電力割合が低い産業部門では、熱供給の電 化がポイントであり、この鍵となるのがヒートポンプ技術である。ヒートポンプ技術は、加熱から冷却 まで幅広い温度帯で利用されているが、その冷媒サイクルの中で重要な働きをするのが熱交換器である。 熱交換器の汚れによって熱交換効率が低下するとヒートポンプ技術の省エネ享受が少なくなってしまう。 今回は、熱交換器汚れの指標である LTD を水処理技術によって最適管理し、熱供給の省エネ運用を提供 するソリューションサービス【オルスマート CW】を紹介する。 |
結 城 啓 之 (ゆうき ひろゆき) 三菱重工サーマルシステムズ株式会社 大型冷凍機技術部設計課 主席技師 |
要約 NEDO 研究プロジェクト「未利用熱エネルギーの革新的活用技術研究開発」において、未利用熱 である排熱が存在する機械・化学産業分野での高温高圧水 160℃出力で加熱 COP4 以上、200℃出力で COP3.5 以上を実現するための冷媒開発とそれを用いた高温ヒートポンプシステムの技術開発を行った。 産業分野の各業種での高温熱供給での需要・排熱の実態調査を行い、導入効果の試算を行った。また、 高温での最適なヒートポンプサイクルの選定を行い、160℃出力・200℃出力に適した冷媒の物性値計 測、冷媒を選定した。さらに、90℃出力の市販機を高温用途向けに改造して、候補冷媒をドロップイン したヒートポンプ要素検証試験を実施し、160℃出力・200℃出力機での設計妥当性を確認した。最後に、 開発した 160℃出力・200℃出力ヒートポンプ機器の設計仕様について示した。 |
③ヒートポンプ給湯機を用いた廃熱活用事例 |
関 野 知 (せきの さとる) 三菱電機エンジニアリング株式会社 和歌山事業所 空調冷熱 SE 部 空調冷熱 SE 第一課 専任技 |
要約 2050 年カーボンニュートラル社会の実現に向けた取り組みの中、ヒートポンプ給湯機を用いた 廃熱活用について、様々な現場で需要が増加している。三菱電機株式会社では古くからヒートポンプを 活用した給湯ビジネスを行い、多くのお客様にご採用頂いている。近年ヒートポンプ給湯機はお湯を高 効率に作るだけでなく、廃熱利用で更なる省エネルギーなシステムへと発展している。取り組み内容と して、お湯を作る時にヒートポンプ給湯機から出る冷風や冷水で、工場空調の冷房に利用し、冷却機器 の負荷を低減する事例がある。また、未利用熱である下水熱・地中熱・太陽熱を熱源として利用したシ ステムの事例も増加している。市場においては、持続可能型社会の実現を目指して、環境に配慮したカー ボンニュートラルに繋ながる給湯システムの導入の要望が増えているため、その内容についてシステム イメージ図を用いて紹介する。 |
益 子 暁 弐 (ましこ あきじ) クラフトワーク 株式会社 専務取締役 |
要約 工場や施設などで存在する未利用熱(廃熱・井水等)を熱エネルギーとしての再利用を目的として、 時間帯により変動する廃熱のカスケード利用と採熱量変位追従型のヒートポンプシステムを組合わせた 熱利用システムを構築した。これにより、これまで使いきれずに捨ててしまっていた廃熱を有効な熱エ ネルギーに変換して更に、これまでに比べて大幅に廃熱の利用率を向上させて省エネルギー及び二酸化 炭素排出量削減に貢献する。 |
EH_NO.240【特集】環境に配慮した省エネ技術の取り組み |
平 野 真 理(ひらの まり) 株式会社前川製作所 産業熱エネルギー部門 営業グループ |
要約 国際社会が「脱炭素時代」へ突入した今、産業界においては加温や乾燥といった高温度域設備に、 今後いっそう化石燃料の削減等が求められると考える。加えて、ヒートポンプを含めた熱源機器は、地 球温暖化係数が高い代替フロンに対する早期の冷媒転換が課題であり、環境配慮型冷媒の採用も急務で ある。当社では、オゾン層を破壊せず温室効果も低いグリーン冷媒を使用した熱風ヒートポンプ「エコサー キット 100」を開発・市場投入した。本稿では本製品の技術と開発経緯、適用の事例及びその効果につ いて紹介する。 |
井 上 智 裕(いのうえ ともひろ) 株式会社 ササクラ 水処理事業部 部長代行 |
要約 (株)ササクラの MVR 型蒸発濃縮装置、当社製品名 VVCC(Vacuum Vapor Compression Concentrator)は「蒸発濃縮工程には大量のエネルギーを必要とする」という従来のイメージを覆す、 エネルギー消費を最小限に抑えた高効率な装置である。蒸発濃縮工程は、さまざまな工場に存在するが、 今回は有価物回収にも適用している晶析装置やZLDにMVR型蒸発濃縮装置を活用した事例を紹介する。 |
三 澤 俊 哉(みさわ としや) 一般社団法人農業電化協会 |
要約 10 月になっても暑い日が続き、クールビズのビジネスマンを多く見かけた。この号が発行される 頃はどうなっているかわからないが、地球温暖化は年々その厳しさを増しており、温室効果ガスの削減 は待ったなしである。農林水産分野におけるエネルギーは、約 90%が化石燃料であると言われているこ とから、農林水産業の電化・電動化は喫緊の課題である。その一環として農業用ヒートポンプの普及が 求められているが、なぜ普及しないのだろうか。 |
EH_No.239(【特集】電気加熱エネルギーにおけるシミュレーション技術の最先端) |
占 部 亘(うらべ わたる) 国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構 省エネルギー部 主査 宮 岡 洋 一(みやおか よういち) 学校法人早稲田大学 総合研究機構 主任研究員 鄭 宗秀(ちょん じょんす) 学校法人早稲田大学 理工学術院 総合研究所 准教授 齋 藤 潔(さいとう きよし) 学校法人早稲田大学 理工学術院 教授 渕 上 英 紀(ふちかみ ひでき) 株式会社前川製作所 技術企画本部 技術研究所 課長補佐 町 田 明 登(まちだ あきと) 株式会社前川製作所 技術企画本部 執行役員 豊 田 俊 介(とよだ しゅんすけ) 一般財団法人金属系材料研究開発センター 磁性・先進技術研究部長 |
要約 新エネルギー・産業技術総合開発機構、未利用熱エネルギー革新的活用技術研究組合、早稲田大学、 前川製作所、金属系材料研究開発センターは、産業用ヒートポンプの導入効果を定量評価できる「産業 用ヒートポンプシミュレーター」(以下、本シミュレーター)を開発した。本シミュレーターは、簡単な 入力と操作で、工場に産業用ヒートポンプを導入した場合の一次エネルギー消費量と CO2 排出量を短時 間で高精度に試算でき、産業用ヒートポンプの導入検討のための時間とコストを大幅に削減できる。今後、 本シミュレーターを用いて産業用ヒートポンプの導入効果を具体的に示していくことで、未利用熱の有 効活用を推進し、2050 年カーボンニュートラル社会の実現への貢献を目指す。 |
EH_No.238、239(【特別寄稿】) |
八 尾 怜 伽(やお れいか) 株式会社 富士経済 エネルギーシステム事業部 第二部一課 清 水 耕 平(しみず こうへい) 株式会社 富士経済 エネルギーシステム事業部 第二部一課 |
要約 アジア諸国の産業用ヒートポンプ市場は、導入政策の有無や業界団体・研究機関による活動、現 地メーカーや欧州・中国系大企業の製品展開状況などによって、国ごとに大きく異なる。本稿では、富 士経済が実施したアジア諸国の産業用ヒートポンプ導入状況の調査結果を全 2 回に分けて概説する。ア ジア諸国における産業用ヒートポンプ市場は大きく黎明期・成長期・普及期に分けられ、産業用ヒート ポンプの導入が限定的な地域ほど研究機関が、進んでいる地域ほど業界団体が普及活動に携わる傾向に ある。産業用ヒートポンプの公開導入事例は、黎明期市場では欧州系大企業による事例に限られるが、 成長期・普及期市場では欧州・中国系大企業だけでなく現地メーカーによる導入ケースもみられる。 |
要約 アジア諸国の産業用ヒートポンプ(HP)市場は、導入政策の有無や業界団体・研究機関による活 動、メーカーの製品展開状況などによって、国ごとに大きく異なる。本稿では、富士経済が実施したア ジア諸国の産業用ヒートポンプ導入状況の調査結果を全 2 回に分けて概説する。アジア諸国の中でも特 に東南アジアにおいて、産業用ヒートポンプを展開しているメーカーは現地系、欧米系、中国系、韓国 系に分類され、2010 年代前半から導入を始めている。現地系と中国系は幅広い産業用ヒートポンプを 展開しているのに対し、欧米系と韓国系は大型の水熱源ヒートポンプに特化しているのが特徴である。 |
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EH_No.237(【特集】ヒートポンプによる工場廃熱活用事例) |
渡 邊 一 夫(わたなべ かずお) 東京電力エナジーパートナー株式会社 法人営業部 産事業ユニット 副部長 |
要約 地球温暖化防止のため温室効果ガス抑制が世界的に急加速する最中、日本政府は昨年の 10 月に 「カーボンニュートラル」を宣言した。産業界においても、省エネ対策が法規制と支援策の両面から推進 されており、産業用ヒートポンプに対する期待は高まる一方である。東京電力 EP(エナジーパートナー) では、お客さま企業における CO2 抑制という経営課題に対して、省エネコンサルとヒートポンプを活用 した未利用エネルギーの有効利用を当社施設「アイスクエア」を通じて提案している。今回は、この「ア イスクエア」での提案コンセプト「燃焼式からヒートポンプ式への熱利用」について説明させていただく。 また、ベンダーフリーという立場から、各種メーカーの高効率ヒートポンプの導入事例について現場の 技術者の方々の工夫も織り交ぜて紹介させていただく。 |
室 井 邦 雄(むろい くにお) 東芝キヤリア株式会社 システム技術センター 営業技術部 部長 |
要約 多くの企業が直面している地球環境悪化、労働人口減少、キャッシュフロー改善、With コロナと いった課題の解決に貢献するため、当社は空調・熱源・換気機器とその関連サービスの提供を通じて多 くのソリューション提案活動を行っている。その一環として、2003 年に業界で初めてモジュール型空 冷ヒートポンプ式熱源機を発売して以降、様々な技術革新を成し遂げ、日本国内のセントラル方式の空調・ 熱源システム市場におけるモジュール型空冷ヒートポンプ式熱源機のディファクトスタンダード化を実 現した。近年では、空調・熱源機器本体の更なる最適化はもちろんのこと、空調・熱源システム全体の 更なる最適化が図られてきた。本稿では、最新の空調・熱源システム最適化技術の特徴を紹介するとと もに、一般空調用途への適用に加えて着実に実績を積み上げてきた産業用途へのモジュール型空冷ヒー トポンプ式熱源機の適用事例を紹介する。 |
江 原 誠 (えはら まこと) 株式会社 前川製作所 ソリューション事業本部 アドバンストシステム部門 営業グループ 食品熱エネルギーチーム |
要約 食品工場では加熱する工程と同時に冷却する工程があり、どちらもエネルギーが使われている。 冷却のエネルギーを与えるだけで同時に加熱ができれば、加熱のエネルギーが大幅に削減される。食品 工場は商品の切り替えが早く、ライン変更や人手不足に対応することが優先され、エネルギーについて は検討順位が下がっている。そこで、カーボンニュートラルに向けてヒートポンプが果たす役割を検討 していく。 |
堤 友 哉(つつみ ゆうや) 三菱重工サーマルシステムズ株式会社 営業部 熱ソリューション営業課 主任 |
要約 産業分野に高効率であるヒートポンプを普及させることにより、大きな省エネルギー化および低 炭素化の実現が期待されている。一方、工場では常に熱を発する機械からの排熱により、工場内が昇温 されているため、作業環境改善や製品冷却を目的に、更にエネルギーを利用していることが多い。その為、 機械からの工場内に排気されている熱を活用することによりヒートポンプ機器の効率向上に加え、室外 機から放出される冷排風を利用することによる暑熱対策の実施や冷却設備停止の実現を行うことによっ て、さらなる削減効果と省エネ化、地球温暖化防止に貢献できると考える。 |
⑤スクリュ式ヒートポンプチラーの低 GWP 冷媒転換対応 |
岡 田 和 人(おかだ かずと) 株式会社神戸製鋼所 冷熱・エネルギー部 技術統括マネージャー |
要約 CO2 排出量削減の観点から、温室効果が高い現行の代替フロンに対する規制が進んでおり、この ためヒートポンプ等の熱源機器に対しては低 GWP 冷媒への早期転換が求められている。本稿では、当 社におけるスクリュ式ヒートポンプチラーの低 GWP 冷媒化に向けた技術開発状況と、市場投入した低 GWP 冷媒対応高温ヒートポンプ「HEM-HR-GN/GL シリーズ」の特徴、その導入メリット試算結果に ついて紹介する。 |
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小 林 大 悟(こばやし だいご) ダイキン工業株式会社 空調営業本部 テクニカルエンジニアリング部 |
要約 近年、世界では地球温暖化への対応として、環境負荷の少ない冷媒への転換が急がれており、 2016 年に発効されたモントリオール議定書のキガリ改正では、批准国は HFC 冷媒 の温暖化影響度を 段階的に削減することが義務付けられている。産業用途では大量の冷媒を使用するチラーが多く、当社 においてもチラーの地球温暖化影響度を低減することが環境貢献に大きく寄与するものと考えており、 本稿では、この地球温暖化係数を抑えた冷媒 R32 を採用した空冷チラーについて紹介する。 |
EH_No.236(【特集】第15回エレクトロヒートシンポジウム) |
甲斐田 武延(かいだ のぶたけ) 一般財団法人電力中央研究所 エネルギーイノベーション創発センター 主任研究員 |
要約 近年、欧州では脱炭素化に向けた高効率な産業電化技術として産業用ヒートポンプが注目されて いる。産業用ヒートポンプの研究開発が活発化しているだけでなく、多数の製品が市場に登場し、導入 事例も報告されてきた。これらの情報は日本における産業用ヒートポンプの研究開発や普及拡大に向け た活動の参考になると考えられる。そこで、本稿では、日本における今後の活動への示唆を得ることを 目的に、欧州における産業用ヒートポンプの動向を調査した結果の概要を紹介する。 |
池田 博史 木村化工機株式会社 開発部 部長 |
要約 本装置は、新開発したヒートポンプと全く新しい蒸留システムの融合により、排水等に含まれる 低濃度アンモニアの濃縮効率を飛躍的に向上させ、既存蒸留システムの高効率化のみならず、窒素資源 であるアンモニアの循環利用に資するものである。アクリル繊維原料や半導体製造工程で使われるアン モニアは、最終的には低濃度の排水となり、その濃縮分離に要する蒸留工程においてはエネルギーの多 消費が課題であった。そこで、①蒸留塔を通常の 1 塔から 2 塔に分割し、塔頂での発生熱を回収するこ とで、ヒートポンプの熱源水に利用、②最大 70℃を熱源に 95℃温水の取出しが可能なヒートポンプを 新開発、③ユーザー別に個別検討が可能な熱解析ソフトの開発などを行い、半世紀以上にも亘り進化し ていない従来の蒸留システムに比べ原油換算で 75.5%の省エネを実現した。 |
松 元 寛 日本ファシリティ・ソリューション株式会社(JFS) 都市 ES 推進室 主幹 |
要約 本取組みは、株式会社 SUBARU 矢島工場における自動車塗装工場の建替に際し、株式会社 SUBARU とエネルギーサービス事業者である日本ファシリティ・ソリューション株式会社が連携し、「温 める」「冷やす」を繰り返す塗装工程において排熱回収システムを構築することで、加熱・冷却に関わる エネルギー使用を合理化した事例である。具体的には、①放熱ロス等の削減を目的とした蒸気レスシス テムの採用②冷却塔で放熱していたコンプレッサー等の排熱を熱源とした熱回収ヒートポンプの導入③ 冷熱製造時に発生する温排熱を加熱工程へ利用する熱回収ターボ冷凍機の導入を実施した。システム導 入後は、温湿度・塗装仕様など常に変化する状況に応じて熱源システム制御に関わる設定値のチューニ ングを実施している。これらの取り組みにより、従来のターボ冷凍機+蒸気ボイラシステムと比べ、一 次エネルギー消費量(原油換算)で 37.0%の削減(▲ 1,410 kL/ 年)を達成した。 |
EH_No.234(【特集】環境・省エネ技術) |
①アンモニア蒸留分離プロセスの省エネ革新と 窒素資源の循環利用に資する ヒートポンプ式アンモニア回収装置の開発 |
坂口 勝俊 一般社団法人 日本エレクトロヒートセンター 業務部 課長 (現 四国電力株式会社) 池田 博史 木村化工機株式会社 開発部 部長 |
要約 本装置は、新開発したヒートポンプと全く新しい蒸留システムの融合により、排水等に含まれる 低濃度アンモニアの濃縮効率を飛躍的に向上させ、既存蒸留システムの高効率化のみならず、窒素資源 であるアンモニアの循環利用に資するものである。アクリル繊維原料や半導体製造工程で使われるアン モニアは、最終的には低濃度の排水となり、その濃縮分離に要する蒸留工程においてはエネルギーの多 消費が課題であった。そこで、①蒸留塔を通常の 1 塔から 2 塔に分割し、塔頂での発生熱を回収するこ とで、ヒートポンプの熱源水に利用、②最大 70℃を熱源に 95℃温水の取出しが可能なヒートポンプを 新開発、③ユーザー別に個別検討が可能な熱解析ソフトの開発などを行い、半世紀以上にも亘り進化し ていない従来の蒸留システムに比べ原油換算で 75.5%の省エネを実現した。 |
EH_No.231(【特集】製造プロセス改善特集~省エネ脱炭素・品質や生産性向上) |
室井 邦雄 東芝キヤリア株式会社 システム技術センター 営業技術部 部長 |
要約 塗装ラインは塗装前の表面処理(脱脂、化成、湯洗)、塗装(スプレー塗装、電着塗装、粉体塗装 等)、乾燥といった工程からなり、いずれもエネルギー多消費工程となっており、省エネルギー化を図る ための有効な手段の一つとしてヒートポンプの活用が注目されている。ヒートポンプ活用のポイントは 塗装ブースの恒温恒湿システムと表面処理工程や乾燥工程の循環加温システムの 2 つであり、本稿では、 それぞれのシステムにおける省エネルギー化を実現するためのヒートポンプの種類と特長、並びに導入 事例について紹介する。
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脇 和寛
ロプライムアース EV エナジー株式会社 プラントエンジニアリング部 環境技術グループ
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要約 全社のエネルギー管理体制は工場長をトップに部門 毎に展開している。その活動を促進する為に環境保全 委員会の中に省エネ ・ 排出物部会を設け、①省エネ目 標や年度計画の立案②省エネ推進会議による進捗の管 理③エネルギー実績の見える化④省エネ技術開発や予 算の管理などを行っている。今回の活動は 2015 年の 新工場の計画が具体化した時より社内プロジェクト チームを結成。エネルギーを使う生産設備の「シンプ ル&スリム化」をコンセプトに生産リードタイムの短 縮、設備加工能力向上(倍速化)を推進すると共に、 2016 年からは社外の仕入先にも参加いただき熱利用 の高効率化に取組んだ
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坂口 勝俊
一般社団法人日本エレクトロヒートセンター 業務部 課長
山田 一輝
東京電力エナジーパートナー株式会社 販売本部 法人営業部 課長
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要約 今回報告するアルミ製造工場における電着塗装工程では、ワークに塗膜を均一に付着させるた め、前処理工程として湯洗、脱脂および化成処理を施している。大きなワークを投入する各処理槽では、 80℃程度に温度保持する必要があり、加熱に多くのエネルギーを要していた。一方、電着槽では直流電 流を流すことから、槽内を冷却する必要がある。これらの同時に発生する冷却と加熱のエネルギー使用 合理化を目指し、東京電力エナジーパートナー㈱が現場調査やシステム設計を担当した。熱源機費用に ついては NEDO 事業を活用し、冷温同時ヒートポンプを大規模に導入することで大幅なエネルギー消 費量の削減を見込んでいる。これにより、過去 5 年に渡って削減したエネルギー削減量を、わずかたっ た 1 年で実現できる見込みである。併せて、老朽化した既設ターボ冷凍機を最新式のインバータターボ 冷凍機に更新することにより、大幅なエネルギー削減を目指している実証事業について報告する。
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中山 浩
中部電力株式会社 技術開発本部 エネルギー応用研究所 生産技術グループ
渡邉 澂雄
名古屋大学大学院工学研究科 創造工学センター
吉田 茂、岡田 有二
三菱重工サーマルシステムズ株式会社 空調機技術部
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要約 生産プロセスの洗浄工程や脱脂工程向けに、低 GWP 冷媒(R454C)を採用した高効率な温水ヒー トポンプ「Q-ton Circulation」を開発した。R454C の GWP 値は現在ヒートポンプで広く使われてい る冷媒の 10 分の 1~14 分の 1 であり、環境負荷を低減したとともに、冷媒マイナス 20℃の外気温度 でも 75℃の温水供給を可能とした。2018 年 12 月の販売開始以降、生産プロセスだけでなく業務ビル の温水循環加温の熱源として導入されている。本稿では、開発機の特長を紹介するとともに、生産プロ セスでの採用事例を紹介する。
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坂口 勝俊
一般社団法人日本エレクトロヒートセンター 業務部 課長
山田 一輝
東京電力エナジーパートナー株式会社 販売本部 法人営業部 課長
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要約 今回報告する染色工場では、染色工程から 1 日当たり 2,750 m3 と大量かつ 80℃と高温の排水が 発生していた。不純物が多い排水からの熱回収は、熱交換器の目詰まり等が原因でハードルが高かった。 また、高温の排水により排水槽が高温となり、排水を浄化処理する微生物が死んでしまうため、同社で は蒸気焚吸収式冷凍機の新設による強制冷却を検討していた。こうした中、閉塞する可能性が極めて低 いスパイラル熱交換器を導入することにより、熱回収による省エネ、ならびに排水槽の温度低下の同時 実現について、東京電力エナジーパートナー㈱より提案を受け、NEDO 事業を活用することで、2018 年 11 月に同熱交換器を導入した。併せて、環境負荷の大きい既設の蒸気焚吸収式冷凍機については、 最新のインバータターボ冷凍機に電化することにより、大幅なエネルギー消費量削減を目指している実 証事業について報告する。
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EH_No.228(【特集】省エネ・脱炭素をけん引する国の施策と補助金の活用)
①食品工場の濃縮工程におけるMVR 型蒸発装置の導入事例 |
松尾 洋志 (まつお ひろし) 木村化工機株式会社 エンジニアリング事業部技術部 部長 佐藤 輝幸 (さとう てるゆき) 木村化工機株式会社 エンジニアリング事業部技術部 |
MVR(Mechanical Vapor Recompression)は、ヒーターで発生したベーパーを蒸気圧縮機で断熱圧縮することで昇温・昇圧し、自己の加熱源とする技術である。その省エネルギー性は、極めて高く、COP = 40 に到達する程である。当社では、40 年以上前にMVR 技術を確立しており、これまでに糖液、乳業などの食品プロセスの省エネに多数の実績を持つ。本稿では、関西の食品会社に納めたアミノ酸ポリマー水溶液のMVR 型蒸発濃縮装置の導入事例を解説するとともに、当社が技術的な優位性を持つMVR の蒸留プロセスへの適用についても紹介する。
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②冷温同時取出し可能なヒートポンプの導入で69%の省エネを達成 |
川口 寿久 (かわぐち としひさ) オレンジベイフーズ株式会社 工務部リーダー 藤本 憲二 (ふじもと けんじ) 四国電力株式会社 愛媛支店 営業部 技術ソリューション課 |
年間を通して冷房負荷が発生していることを踏まえ、冷温同時取出しタイプのエコキュートを選択。しかし、エコキュートの場合、蒸気のように瞬間的に大量の温水製造ができない。そこで、温水使用量を時刻別に詳細に分析し、エコキュートの複数台化、および貯湯タンクの大容量化などにより課題を解決した結果、大幅な省エネを達成した食品製造会社の事例をご紹介する。 |
EH_No.226(電化シフト/熱利用分野の脱炭素化に向けて)
①含浸廃水濃縮プロセスの革新を目指した蒸発濃縮装置の開発・導入 |
吉本 智計 株式会社ナカキン 軽合金事業部 技術部 設備技術課 主任 株式会社中央発明研究所 技術部 関西電力株式会社 大阪北法人営業本部 エンジニアリンググループ |
株式会社ナカキンでは、鋳造製品の品質・信頼性向上を目的として「含浸」を行なっている。含浸処理を施すことで含浸廃水が発生するが、廃水中に含まれる含浸剤は熱硬化樹脂であるため、廃水濃縮用の蒸気ドライヤの熱により硬化物が析出・固着するという課題があった。そのため、熱気立ち込める高温環境にて、頻繁に硬化物の除去メンテナンス作業を余儀なくされる過酷な労働環境にあった。また、ボイラ損失・放熱損失・熱交換損失等、多量の熱損失も発生していたため、エネルギー効率も優れたものではなかった。そこで、ヒートポンプ技術を活用し、含浸廃水濃縮に対応できる蒸発濃縮装置の開発・導入を行なった結果、メンテナンス性およびエネルギー効率の双方の観点から、大幅な改善効果を得ることができた。さらに、副産物である再生水を有効利用することで、水使用量削減という二次的効果も得ることができた。本稿では、その事例について紹介を行う。
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②酒造工場への空冷ヒートポンプ式熱源機の導入事例 |
村上 洋 東芝キヤリア株式会社 九州支社 九州システム技術担当 グループ長 |
三和酒類株式会社様は昭和33 年の創業以来、醗酵技術と創意工夫の精神で、「おかげさまで、美しい言葉、謙虚な心、丹念に一念に」を社是に掲げ、「いいちこ」をはじめとした商品づくりや研究開発に日々励まれている。本稿では日田蒸留所様において製麹機ともろみを管理する醗酵タンクの冷却用熱源機をガス吸収冷温水機から空冷ヒートポンプ式熱源機に更新され、省エネとメンテナンスの手間を削減された事例について紹介をする。 |
EH_No.225(廃熱活用技術Ⅲ)
巻頭言;産業用ヒートポンプ飛躍の年に |
鈴木 聡 一般社団法人 日本エレクトロヒートセンター 副会長 |
①水熱源ヒートポンプの導入事例について |
吉元 龍太郎 三菱電機住環境システムズ株式会社 関西支社 商品本部 空調冷熱商品部 産業冷熱営業課 |
CO2 削減という課題に対して、様々な形での解決に向け検討が進んでいる。「未利用熱」の有効活用により、エネルギーを効率良く利用することで、課題解決に貢献した導入事例は多数ある。本稿では、従来捨てていた排水や下水から、熱を回収し、熱エネルギーを有効に利用する「熱回収型水熱源ヒートポンプ」を用いることで、温熱需要に対応したシステムを紹介する。それは未利用熱の利用で効率的なエネルギー利用に貢献し、CO2 削減、省エネルギーを図るヒートポンプ技術を活用したシステムであり、今後の低炭素社会へ貢献するシステムである。
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②ターボ冷凍機による廃熱回収利用提案 |
澁谷 誠司 三菱重工サーマルシステムズ株式会社 営業部 熱ソリューション営業課長 |
高効率ターボ冷凍機は空調熱源や生産プロセスの冷却熱源として多く採用されている。一方、省エネルギーのニーズから蒸気加熱に替わる温熱源が求められているが、その負荷は50℃以下の温水で対応できる加熱負荷も多い。事例としてターボ冷凍機の凝縮廃熱を温水として利用する熱回収型ターボ冷凍機が半導体工場や飲料工場などで使用されている。さらに、冷却負荷がない冬季であっても工場廃熱を熱源とするヒートポンプ型ターボ冷凍機が自動車組立工場などで利用されている。加熱負荷を適正な温度レベルに見直すことで、高効率に温水を供給できる熱回収型およびヒートポンプ型ターボ冷凍機の適用範囲を拡大し、さらなる地球温暖化防止に貢献できると考える。
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③ヒートポンプ等を活用した廃熱利用商品と導入事例の紹介 |
大下 悟 三浦工業株式会社 熱利用機器技術部 熱利用機器技術課 チーフエンジニア |
現在、三浦工業(社長・宮内大介)では熱・水・環境を包括的にとらえた工場トータルソリューション提案のため、主力商品である小型貫流蒸気ボイラ単体の効率向上だけでなく、工場全体の効率向上化に目を向け、未利用熱の有効活用、熱エネルギーを活用した減電など様々な省エネ機器の開発、提案から納入後のメンテナンスまでを行っている。本稿では、弊社の未利用熱活用に資する省エネ機器と、その導入事例、導入メリットについて紹介する。
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➃ヒートポンプ導入による室内環境改善と省エネの両立を目指した取組み |
佐藤 彰 理研ビタミン株式会社 大阪工場 環境保全課 関西電力株式会社 東京法人営業本部 エンジニアリンググループ |
理研ビタミン株式会社大阪工場では、2018 年7 月、コンプレッサー室の環境改善を目的とした循環加温ヒートポンプCAONS140L(以下、「CAONS」という)を導入した。熱源機自体をコンプレッサー室に設置することで、CAONS から排出される冷風(以下、「排冷風」という)でコンプレッサー室の室温を下げ、暑熱環境下でもコンプレッサー異常を起こすことなく安定した設備運用を実現している。また、温熱は近接した蒸気ボイラー補給水を加温することで、省エネも両立させることができている。
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⑤低温施設向け冷凍設備における逆サイクルホットガス利用のヒートポンプ導入事例 |
早 山 文 人 株式会社ダイキンアプライドシステムズ エンジニアリング本部 設計部 |
ヒートポンプ技術は、人を対象とした一般空調および、10 ~ 20℃の中温領域において冷房および暖房に広く利用されている。近年は、産業分野の加熱源として高温領域まで利用範囲を広げてきている。
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⑥最新のモジュール型空冷ヒートポンプ式熱源機の特長と工場への適用事例 |
室井 邦雄 東芝キヤリア株式会社 システム技術センター 営業技術部 部長 |
日本国内のセントラル方式空調市場において、モジュール型ならではの様々なメリットを活かして普及拡大してきたモジュール型空冷ヒートポンプ式熱源機であるが、一般空調用途や生産プロセスの冷熱用途に比べて、蒸気などの燃焼式熱源機が主流である生産プロセスの温熱用途では普及途上である。 本稿では、その特徴を紹介するとともに、着実に実績を積み上げてきた生産プロセスの温熱用途における採用事例を紹介する。
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EH_No.224(第13回エレクトロヒートシンポジウム)
①熱交換器を用いた工場廃熱活用事例 |
岩澤 賢治 MDI 株式会社 代表取締役 |
排熱・低温熱・未利用熱の活用ニーズが高まっている昨今、実際の現場では熱が有効利用されることなく大量廃棄されているのが現状である。その多くが『熱交換』というものが最適化されていない、または既存の設備をそのままに引き継いでいるだけで具体的にどうしていいか分からないという現場がほとんどである。本稿では工場廃熱の活用における熱交換器の基本的な考え方や種類、設計のポイント、具体的な活用事例についてご紹介する。 |
EH_No.220(工場廃熱活用技術Ⅱ)
①特集記事 |
●導入事例/導入システム● |
「熱回収ソリューション『水熱利用システム』自動車部品工場への導入事例」 田熊 康秀 オルガノ株式会社 ソリューション技術部 グループ長 |
「食品工場における最新型ヒートポンプ導入事例と最適運用に向けた取組みについて」 大野 章仁 日本食研株式会社 千葉工場 エンジニアリンググループ 専任課長 他 |
深澤 篤志 日本電技株式会社 事業本部 事業推進部 産業ソリューション推進室 室長代理 |
田下 友和 株式会社神戸製鋼所 冷熱・エネルギー部 冷熱営業室 課長 他 |
「廃熱利用・冷温熱同時供給が可能な二種類の熱風ヒートポンプの紹介」 米田 弘和 株式会社前川製作所 エネルギー部門リーダー 次長 |
「グラビア印刷機の乾燥理論と省エネ型排気廃熱回収システム「E-SAVE」 Yong-Suk Mun 日本サーキュレート株式会社 他 |
「糖液および溶剤の濃縮工程におけるMVR 型の蒸発および蒸留装置の導入事例」 松尾 洋志 木村化工機株式会社 エンジにアリング事業部 技術部 部長 |
井上 智裕 株式会社ササクラ 水処理事業部 東京水処理営業室 室長 |
「蒸気ブロワー導入による省エネ事例~ VOC 脱着工程への適用と今後の展開~」 生野 満 株式会社四葉製作所 取締役 他 |
●要素技術/エンジニアリング● |
「低エクセルギー損失社会を実現する熱交換器開発の最前線」生産技術研究所 教授 鹿園 直毅 国立大学法人東京大学 |
佐野 光男 株式会社IHI 回転機械エンジニアリング プロセス圧縮機BU 設計部 部長 |
「ピンチテクノロジーを用いた工場へのヒートポンプ導入の進め方」 松田 一夫 元千代田化工建設株式会社 他 |
●新システム開発● |
佐藤 輝幸 木村化工機株式会社 エンジニアリング事業部 技術部 |
髙澤 雄次 株式会社前川製作所 エネルギー部門 監事 |
②我が国の地中熱ヒートポンプシステム市場拡大への期待<特別寄稿> |
長野 克則 北海道大学大学院 教授 |
再生可能エネルギー熱の一つである地中熱は国の第4 次エネルギー基本計画の中で導入支援を図り、導入拡大を目指すことが明記されている。まず、地中熱利用の利点と追い風、現状と普及への課題を述べる。北海道は地中熱ヒートポンプシステムの先進地であるが、寒冷地のZEB への適用例と性能評価の一例を示す。最後に筆者が代表となり受託しているNEDO「再生可能エネルギー熱利用技術開発」の主な研究成果について紹介する。 |
EH_No.218(第12回エレクトロヒートシンポジウム)
①航空機塗装設備へのヒートポンプ活用 |
井場 功 東芝キヤリア株式会社 営業技術部 主幹 |
中部地区の航空機部品製造工場の塗装設備に新規導入された換気空調システムにヒートポンプを導入するとともに、省エネ空調制御やポンプの搬送動力を削減する新方式の変流量制御を採用することにより、同工場の既設塗装設備と比較して大幅な省エネを図るとともに、システムのロバスト性や将来の拡張性を考慮した。同工場の既設塗装設備のシステムとの比較により従来の課題をどう解決し、更に省エネを図ったかを解説する。
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②メタノール蒸留工程における廃熱を活用した省エネルギーの取組み |
村瀬 勝俊 名糖産業株式会社 八王子工場 工場長代理 他 |
名糖産業 八王子工場のメタノール蒸留塔にヒートポンプを導入し、エネルギー使用量(一次エネルギー換算)を60%削減するという、画期的な省エネルギーを実現する事ができた。また、本導入事例を広く周知するために、省エネ大賞に応募を行い、「経済産業大臣賞」を受賞した。蒸留塔の省エネは大きな課題であり、本事例は課題を解決するための一つの切り口になり得ると思われる。本事例の概要を紹介する。 |
EH_No.216(特集:工場空調)
①工場空調の総論 |
神谷 忠史 高砂熱学工業株式会社 エンジニアリング事業部 事業部長 |
②工場向け空調システムにおける導入事例のご紹介 |
大脇 淳一 三菱電機エンジニアリング株式会社 和歌山事業所 システム技術部 冷熱SE 第一課 |
③工場向け空調製品「ファレシアDD」について |
本多 博之 三菱電機株式会社 冷熱システム製作所 営業部 空調営業課 |
④スポット・ゾーン空調システム「FLEXAIR」の紹介 |
尾﨑 健 東芝キヤリア株式会社 掛川開発センター 熱源設計部 設備ソリューション設計担当 |
⑤マルチキューブエアコンを利用した工場空調システム |
樋口 幸平 ダイキン工業株式会社 空調営業本部 テクニカルエンジニアリング部 |
⑥旋回流誘引型成層空調システムSWIT®による諸上な・環境改善事例 |
三橋 太 高砂熱学工業株式会社 東京本店設計部 参事 |
EH_No.215 特別寄稿:ヒートポンプの冷媒の動向と課題
ヒートポンプの冷媒の動向と課題 |
松 田 憲 兒 一般社団法人 日本冷凍空調工業会 技術部 部長 |
EH_No.214(特集:乾燥工程のエレクトロヒート技術)
①熱風供給温度90℃を実現した高効率空気熱源ヒートポンプ式熱風発生装置”熱Pu-ton” |
吉田 茂 三菱重工サーマルシステムズ株式会社 空調機技術部 ヒートポンプ設計グループ |
②蒸気再圧縮式乾燥装置(ヒーポンITR)の開発 |
飯田 晃弘 株式会社大川原製作所 開発部 部長 |
③熱風ヒートポンプ「エコシロッコ」のモデルチェンジと導入事例 |
北山 英博 株式会社前川製作所 東広島工場 小型パッケージ製造部門 営業チームリーダー |
④熱Pu-tonのドライラミネーターへの適用とその導入効果 |
深澤 篤志 日本電技株式会社 東京本店産業ソリューソン部 営業一課 課長 吉田 茂 三菱重工サーマルシステムズ株式会社 空調機技術部 ヒートポンプ設計グループ |
⑤熱Pu-tonのスプレードライヤへの適用とその導入効果 |
根本 源太郎 大川原化工機株式会社 開発部 部長 吉田 茂 三菱重工サーマルシステムズ株式会社 空調機技術部 ヒートポンプ設計グループ |
⑥自己熱再生型ヒートポンプ式高効率下水汚泥乾燥技術実証研究 |
飯田 晃弘 株式会社大川原製作所 開発部 部長(㈱大川原製作所・秦野市・関西電力㈱共同研究体) |
EH_No.213(特集:工場廃熱活用技術)
①低炭素社会の構築に期待される産業用ヒートポンプ |
内山 洋司 一般社団法人 日本エレクトロヒートセンター会長(筑波大学名誉教授) |
②工場廃熱活用の考え方 |
井上 和茂 一般社団法人 日本エレクトロヒートセンター |
③”自己廃熱回収+ヒートポンプ”の組合せによる新たな省エネルギー対策とその事例紹介 |
原田 光朗 東京電力エナジーパートナー株式会社 E&G 事業本部 部長 |
④熱交換器を中心とした廃熱回収システムの紹介 |
岩澤 賢治 MDI 株式会社 代表取締役 |
⑤印刷工場・食品工場への廃熱回収システム導入事例 |
深澤 篤志 日本電技株式会社 東京本店 産業ソリューション部 課長 |
⑥蒸留塔へのヒートポンプ導入実績 |
松尾 洋志 木村化工機株式会社 エンジニアリング事業部技術部 部長 |
⑦MVRの導入事例 |
湯淺 升夫 株式会社 ササクラ 水処理事業部 東京水処理営業室 |
⑧工場廃熱活用システムの導入における補助金とリースの活用事例 |
石井 直人 三菱UFJ リース株式会社 環境・エネルギー事業部 |
EH_No.209(特集:MVR(Mechanical Vapor Recompression)、自己熱再生
②ササクラのMVR導入事例の紹介 |
石田 和彦 株式会社 ササクラ 水処理事業部 水処理技術室長 |
③木村化工機のMVRを用いた蒸留システムの紹介 |
松尾 洋志 木村化工機株式会社 エンジニアリング事業部技術部 部長 中西 俊成 木村化工機株式会社 エンジニアリング事業部技術部 主事 |
④製塩の海水濃縮工程におけるヒートポンプ式減圧濃縮装置の導入事例 |
辰巳 剛平 四国電力株式会社 高知支店 お客さまサービス部 技術ソリューション課 |
⑤ビール工場およびアルコール工場へのMVR導入事例 |
高澤 雄次 株式会社 前川製作所 エネルギーブロック 部長 |
⑥自己熱再生技術を用いたバイオエタノール蒸留の省エネルギー化 |
木内 崇文 新日鉄住金エンジニアリング株式会社 技術開発研究所 マネジャー |
EH_No.207(特集:農林水産業/6次産業化)
①廃校舎を利活用した青森県内初の「人工光型植物工場」の事例 |
安部 知幸 有限会社安部製作所 代表取締役 |
②富山市が進めるエゴマの6次産業化事業と温泉熱を利用した植物工場の整備 |
須沼 俊輔 富山市 環境部 環境政策課 主任 |
③ヒートポンプの利用による環境負荷に配慮したバラ生産 |
小畑 和敏 有限会社メルヘンローズ 代表取締役 |
④養鰻池排熱回収及び地中熱利用ヒートポンプ導入による加温システムの省エネルギー事業 |
山田 賢一 株式会社 日鰻 代表取締役 |
⑤施設園芸向けスポットエアコンの温室内利用方法(冷却・除湿効果)のご紹介 |
浜辺 純史 日立アプライアンス株式会社 関東・広域支店 ファシリティ営業二部 部長代理 |
黒田 剛史 ヤンマーグリーンシステム株式会社 農産施設部 |
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EH_No.206(第10回エレクトロヒートシンポジウム)
①ヒートポンプ採用による塗装ブースの近代化 |
志岐 昌利 APC エアロスペシャルティ株式会社 生産事業部 部長 東芝キヤリア株式会社 システム技術部 主幹 |
②醤油工場への「冷却+給湯」用ヒートポンプの導入事例 |
北山 英博 株式会社前川製作所 ユニモ事業化部門 営業グループ リーダー |
EH_No.203(特集:工場の排熱回収技術)
①工場の排熱回収技術の概要 |
江川 寛 福良エンジニアリング株式会社 代表取締役 |
②醤油工場への排熱回収システムの導入事例 |
赤石 拓也 株式会社前川製作所 エネルギーブロック高温ソリューショングループ |
③製麺工場への排熱回収システムの実証試験 |
桑原 崇 サイエンス株式会社 代表取締役 |
④染色工場への排熱回収システムの導入事例 |
田中 琢磨 株式会社クロセ 営業本部 東京営業部 |
⑤濃縮装置や蒸留装置への排熱回収システムの導入実績 |
中山 真太郎 株式会社ササクラ 水処理事業部 東京水処理営業室 |
⑥工場排熱回収システムの導入実績 |
中西 俊成 木村化工機株式会社 エンジニアリング事業部技術部 主事 |
⑦補助金制度を活用した排熱回収システムの導入事例 |
望月 淳 三菱UFJ リース株式会社 環境・エネルギー事業部 |
EH_No.190(特集:熱回収型エレクトロヒートシステム)
EH_No.187(特集:最新のヒートポンプ技術)
伊藤 拓也 三菱電機株式会社 大越 靖 三菱電機株式会社 |
②空気 熱源式高温水ヒートポンプ「CAONSTM700」 |
丹野 英樹
東芝キヤリア株式会社 技術本部 熱源設計部 |
③寒大型業務用ヒートポンプ給湯システムMEGA・Q |
冨士 剛志 ダイキン工業株式会社 空調営業本部カスタマーサポートセンター 技術グループ |
④低温保管用途に加湿機能をプラスした「冷蔵ヒートポンプユニット」の開発 |
辻本 孝二 株式会社ダイキンアプライドシステムズ ファクトリー機器部 機器システムグループ |
⑤排熱回収型温水製造ヒートポンプシステム |
杉山 清隆 株式会社東洋製作所 プラント営業部営業3 グループグループ長 |
⑥磁気ヒートポンプ技術の開発 |
平野 直樹 中部電力株式会社 技術開発本部 電力技術研究所 超電導プロジェクト 研究主査 |
EH_No.177(ヒートポンプシステム特集Ⅰ(空調・未利用熱・寒冷地仕様))
EH_No.178(ヒートポンプシステム特集Ⅱ(排熱回収・給湯))
連載講座:熱回収技術とヒートポンプ(EH_No.189~No.194)
第1回(EH_No.189):熱回収とヒートポンプへの期待 |
井場 功 一般社団法人日本エレクトロヒートセンター ヒートポンプ技術部会 前部会長 |
第2回(EH_No.190):熱交換器の基礎と熱回収~プレート式熱交換器~ |
楠 健司 株式会社 日阪製作所 熱交換器事業本部 設計開発部 設計開発課 課長代理 |
第3回(EH_No.191):ヒートポンプを用いた工場排水の熱回収~スパイラル式熱交換器~ |
田中 琢磨 株式会社クロセ 営業本部 東京営業部 |
第4回(EH_No.192):シェルアンドチューブ式熱交換器の特徴と事例 |
土谷 輝男
森松工業株式会社 企画開発課 |
第5回(EH_No.193):半導体製造工程への排熱回収ヒートポンプ導入) |
時田 靖己 ルネサスセミコンダクタ九州・山口株式会社 環境工務部 プラント技術課 主任 ルネサスセミコンダクタ九州・山口株式会社 環境工務部 プラント技術課 主任 株式会社日立製作所 インフラシステム社 環境エンジニアリング事業部 課長 |
第6回(EH_No.194):空気熱源ヒートポンプチラーによる熱回収技術 |
松浦 恵 ダイキン工業株式会社 空調営業本部 テクニカルエンジニアリング部 技術担当課長 |
①MVR(Mechanical Vapor Recompression)の概要 |
松尾 洋志 木村化工機株式会社 エンジニアリング事業部技術部 部長 中西 俊成 木村化工機株式会社 エンジニアリング事業部技術部 主事 |