アーク・プラズマ加熱の特徴
アーク・プラズマ加熱の最大の特長は、5,000℃以上の高温を容易に発生できることです。このため、また、電気加熱の一種であるので電気加熱の特長も有しています。以下に、アーク・プラズマ加熱の特徴と、それらによってもたらされるプロセス上の利点をまとめます。
超高温を容易に発生できる
燃焼による加熱で達成できる温度は、3,000℃程度までですが、アーク・プラズマ加熱では、5,000℃以上の超高温を容易に発生させることができます。
などの利点につながります。 |
エネルギー密度が高い
アーク・プラズマ加熱では、加熱対象物への熱流速が非常に高いため、ある限られた領域に大きなエネルギーを与えることができます。次項以降は、電気加熱の一般的な特長です。
加熱エネルギーが、加熱の場で進行する化学反応に影響されにくい
燃焼加熱のように化学反応を利用する場合では、加熱は反応熱によって供給されています。このため、化学反応を阻害する要因があれば、加熱エネルギーを安定に供給することが難しくなります。
これに対し、アーク・プラズマ加熱は電気加熱の一種であり、加熱エネルギーを電力で供給するため、加熱エネルギーが場で進行する化学反応の影響を受けにくくなります。
この特長により、加熱対象物の物理・化学的性質に左右されにくい安定な加熱が達成できます。また、加熱場の雰囲気を酸化性、不活性、あるいは還元性とプロセスの要求に応じて自由に選択できます。
排ガスが少ない
- 排ガス処理設備をコンパクトにできます。
- ダストのような粉体や金属加工で発生する切り粉のような微細なものも処理対象に選べます。
つまり、粒径の小さなものほど排ガスとともに移動しやすくなるので、加熱の場の流速が小さいほど粒径の小さなものを加熱対象にすることができます。
などのプロセス上の利点がもたらされます。
加熱エネルギーの管理と制御が容易である
加熱処理の状況や廃棄物の性状に応じた最適な加熱条件の設定などの運転管理が容易になります。
クリーンな加熱ができる
- 不純物の濃度を制御したいような材料開発や精練の工程に適用できます。
- 材料製造の最終工程に近いところでも適用できます。
などの利点につながります。
これらの特長を活かし、スクラップ鉄のリサイクルなどの製鋼プロセスや、ダイオキシンの存在が懸念される都市ゴミ焼却灰の溶融による減容・無害化などの分野へ応用されています。